【院試】令和4年度東北大学大学院試験体験記【電気・情報系】
東北大学大学院の電気・情報系の院試を受けてきたので体験記書きます。私は【一般入試・非成績優秀者・東北大学工学部卒業見込み】の枠で受験しているので同じ境遇の方は参考になると思います。
といってもこの記事の内容は当日の立ち回りであったり、試験の内容・感想ばっか書くつもりなので試験のシステムや問題の傾向に関しては別の記事をご覧ください。
1日目は基礎科目があります。前日は起き慣れない朝起床ということで早めに寝ましょう。
試験時間は9:40-10:40ですが、集合時間は9:00厳守で、9:15からはトイレにも行けなくなります。所持するものは郵送された受験票と検温票,筆記用具のみで大丈夫です。個人的には待機時間が長いため飲み物を持ち込んだほうが良いでしょう。
私は8:50くらいに会場入りしました。ここから40分も耐久しなきゃならないので、筑波の編入試験並に腹痛がしんどかったです(わかれ)。
全員集まったら誓約書にレ点を書き込み、署名をしたら問題用紙、解答用紙、草案用紙が配られます。もう何でもするから早く試験始めてくれぇ。
①電気回路 8割
さて電気回路ですが、例年通りならば伝送回路、過渡回路、二端子対回路から骨のある問題が出題されますが、ペラっとめくった瞬間に3か月の努力が一瞬にして否定され、試験中にも関わらずうわああああああああああああああああああああああああああと叫んで途中退出し、ウユニ塩湖でunravelのF/T収録してこようか迷いましたが、堪えました。
第1問 記号法による交流回路の解析:10割
RLC直列交流回路に関する問題が出題されました。
(1)RLC直列回路の電流を極形式で求める。
記号法により回路図を書き換え,オームの法則を適用するだけです。
(2)回路の有効電力、無効電力を求める。
回路の有効電力はでしか消費されないので求めた電流の実効値により。無効電力は皮相電力から三平方でよっこいしょすれば求まります。または皮相電力を求めて電流から得られたをそれぞれ掛けてもよさそう。
(3)RLC直列素子に対して並列にコンデンサを接続した時に力率が1になるの値を求める。
つまり共振条件なので回路全体の合成インピーダンスの虚部が0になればよさそうです。
(4)共振電流とを接続しない時の回路電流、電源電圧の関係をフェーザ図でまとめる。
求めたとをを基準としたフェーザ図に描きます。具体的な値が与えられているのでそれを代入すると並列共振のフェーザ図が出てきました。
見直しする時間が無いので合っているかは不明ですが合ってそうではある。
なおこの問題が解き終わった時点で残り時間が30分。数学基礎を解く時間が無くなってしまうのでこの時点で電気回路は切って数学基礎に移動しました。
第2問 ブリッジの平衡条件:6割
記憶が正しければヘヴィサイドのブリッジが出た思います。ブリッジのくせに回路が傾いていないし、変な相互インダクタンスが付いてるし、初見じゃブリッジ回路に見えません。なんかとんでもなく面倒な過渡回路かと思いました。
問題の内容としてはブリッジが平衡になる時の相互インダクタンスを求めよといったもので、相互コイルをT型等価回路に直して、ブリッジの平衡条件を適用するだけでした。
ただしこれを解き始めたのが試験終了5分前。とにかく相互コイルをT型等価回路に直してブリッジの平衡条件を知ってることをアピールしないと部分点すらもらえないと察したので急いで書き殴りました。
どうやら相互コイルが逆巻きだったことに気づかず符号を間違ってしまいましたが、そこ以外は多分合っているはず。6割。
②数学基礎 10割
こちらは傾向通り線形代数+応数でした。
第1問 行列の乗:10割
対称行列でない3*3の正方行列が与えられ、それを(1)-(4)の順に従って乗する代表的な固有値の応用でした。完答。
第2問 フーリエ級数展開:10割
傾向大ハズレもいいところのフーリエ級数展開でしたが、(0から2π, 周期2π)で、さらにフーリエ係数の求め方,積分範囲も与えられたのでフーリエ級数展開を被った只の積分でした。
(1)を求める。
既にが与えられているので、,を代入して計算するだけ。
(2)を求める。
これも同じく。与えられた積分をするだけです。
(3) を証明する。
試験終了直前にこいつを見た時は失神するかと思いましたが、よく見ると(1)(2)で求めたフーリエ級数展開するを移項して変形するだけだったので20秒で解けました。この問題、逆に利用すればのフーリエ級数展開に変形できるので(1)(2)が分からなくても(3)を利用すれば答えの確認ができちゃう神問題だった、、、。
数学は試験時間が30分ということを除けば過去一簡単だったと思います。この後は時間が5分ほど余ったので電気回路の第2問の爪痕残しに行きました。
ということで試験終了。正直時間足りませんでした。
試験全体の感想としては以下の通り。
1. 時間がとにかく足りない
時間がないです。
コロナ禍のせいか知りませんが2年ほど前から試験時間がなんと半分になりました。試験時間が半分になろうと問題の量は半分にならないのはなぜ?どうした?話聞こうか?
ふつうに解いても時間足りないので解き直しはできないので、
電気回路であれば【どこか複素数の計算ミスったかも→プラスマイナス前後の単位の次元があっているかを確認する】,数学であれば【逆行列が合っているか?→実際に掛けて単位行列になることを確認する】など要所で今までの計算正しいかが手軽にチェックするテクを身につけておくと効率的に見直しができるためお勧めです。
2. 紙がとにかく足りない
紙がないです。
解答用紙は各科目当たりA4用紙裏表合わせて1枚分しかないので計算は草案紙でよろしくーみたいな魂胆ですが私はあまりお勧めしません。
なぜなら「ここまで合ってる」アピができないから。爪痕ムーヴと相性が悪いです。文字を小さく書いたり、紙面を有効活用するといいかも。これも練習できるので過去問解く際はA4一枚縛りでやってみてください。
難易度としては、
電気回路:★★☆☆☆
数学基礎:★☆☆☆☆
だと感じました。
専門科目も抜かりなく頑張りましょう。
うおおおおおおお専門専門専門!!!!とのことで2日目です。専門科目は電気工学と電子工学を選択します。
前回の教訓から、
・試験室はもうちょい早めに入る
・温度調整が容易な服装で行く
・常温水を持ってく
・胃腸薬を持ってく
を実践したらストレスなく試験受けれたので、特に服装とかは考えてみてください。
待ち時間は腹がひたすらに痛いので、永遠に心拍数数えてました。ちな試験前の私の心拍数は140あります。140~150だと体力作りに効果的な心拍数らしいので、いつも試験開始時にはヘトヘトになってます。
ストレス性の腹痛を持つ私としては、腹が痛い自分を冷静に客観視すると収まるので心拍数を数える方法はおすすめです。
ということで2日目は試験直前は心拍数130まで落ち着いたので、とりあえず電子工学が簡単そうだったので電子工学から。
電子工学:7割
教科書に載っている基本的な内容からの出題でした。
第1問 MOSFETの構造:10割
MOSFETの入力抵抗が大きい理由を説明せよ。
MOS構造を書いてゲート端子にとってMOS構造は疑似的なコンデンサになるから入力抵抗が大きいみたいなことを書いてきました。
第2問 ソース接地増幅回路:6割
ソース抵抗あり・バイパスコンデンサありのMOSFETを用いたソース接地増幅回路が出ました。
(1)微小信号等価回路を描く。
MOSFETの微小信号等価回路が与えられるのでそれをぶち込むだけです。
(2)電圧利得を求める。
を媒介変数としてとを求めて割り算をすれば出ます。
(3)負荷抵抗をMOSFETと置き換えた時の負荷抵抗と相互コンダクタンスの関係を導き、その利点を述べる。
これめんどそうなので最後に解いたのですが結局時間がなくて回路は解けませんでした。「入力抵抗が大きくなるから増幅回路以外の設定を変更しても増幅回路パラメータがそれによって変動しにくくなる」とかそんなこと書いときました。
正しくは電源電圧を大きくせずに大きい負荷を得られることらしい。いや知らね〜。
電気工学:6割
第1問 安定判別法:7割
制御器が,制御対象がの、帰還率1の負帰還が掛かった普通の系に関する問題でした。
(1)開ループ伝達関数を求める。
今回は2つかけるだけです。
(2)ナイキスト線図を描き、ナイキストの安定判別法により安定となるの範囲を求める。
ゲインと位相を求めて適当なナイキスト線図を書いてナイキストの安定判別法を適用します。一度は間違いましたが(3)のあとにミスが発覚したのでやり直して合ってることを確認しました。せーふ。
(3)フルビッツの安定判別法により安定となるKの範囲を求める。
閉ループ伝達関数を求めて、その分母多項式の係数を使ってフルビッツ行列を作り、判定します。分母多項式の係数が全部正にならないと安定でない点を見落とさないように注意です。
解いている途中に気になった点としてKが0または負でも安定であるのか、があります。私的にはそれを許してしまうとゲイン余裕や位相余裕が定義できないと思うのでンンンンって感じです。
多分今回は私がどっちも間違っています。
こういう自分の考えは爪痕として積極的に解答用紙に書いておくべきです。基本的にいっぱい書いてあっても減点されることはないので、白紙になりそうなわからない問題でも必ず何かは書くことを意識しましょう。
白紙同然の場合は何書いてもマイナスにはならないので!つまり無敵の人ですね
第2問 変圧器:5割
(1)開放試験・無負荷試験の結果から変圧器回路定数を導く。
頻出です。これは完答。
(2)電圧変動率を求める。
力率が与えられてるからなんだろうけどとの求め方が不明。
定格容量しか与えられてないのにどうやってこれ計算するんだろう。定格銅損が書いてあるなら分かるが…。
分からないわ時間はないわで一般式は知ってるアピールをして、あとは適当に値いれて答え書いときました。多分間違ってる。
全体的に可もなく不可もなくですね。
難易度としては、
電気工学:★★☆☆☆
電子工学:★★☆☆☆
くらい。The標準的。べらぼうに難しい問題や初見殺しの問題はなかったのでちゃんと勉強してきた人は解けてそう。
感想としては、
1. 専門は広く浅い!
電気工学と電子工学のみに限りますが、この2科目はやはり基礎科目と比較して広く浅いと思いました。
普通は基礎より専門のが簡単ですが、当然のように知らなきゃ解けないオワオワリ問題が出る時がある(2020年の電子工学とか)のでいくら勉強しようともムリです。
だからこそ知らなきゃ解けない問題とかいう天災を恐るよりも、みんなが解ける簡単な基礎問題を何倍も大切にしてやってください。
2. 爪痕大事ィ
知らなきゃ解けないかららといって白紙で出すのはご法度です。絶対にダメです。
知らなきゃ解けない問題に対して我々が失うものはありません。すなわち無敵の
具体的に爪痕を残す方法として「わからないものを文字で置く」「方針を書く」あたりが有力です。
わからないものを割り切って文字で置いちゃえばその先の議論ができます。方針を書けば問題を理解できていることをアピールできます。
【まとめ】
総評としては上出来なんじゃないかと思います。みんな正解できるような問題はしっかり解けてるし、知らない問題は解けてないしで。
英語、面接も含めたら得点率82%くらいだと思います。(ちなTOEICは685点です。
第一志望は倍率が高い研究室を選択したので受かるかどうかは分かりません。10月までお祈りです。
各科目の勉強法とか頻出な内容とかは別の記事でまとめるのでそちらもお楽しみに。
さようなら。
【結果】
大学院'には'合格しました。
これにて私の院試はあっけなく終了です。合格後は編入試験と同じように受諾or辞退届が届くので割と急いで提出します。
そのほかのめんどっちい書類は2月とかそこら辺に、成績開示は4月以降になってくると思うのでまたその時は追記なり記事なり出します。
みんな頑張っちぇーーーー